困ったトキだけカミダノミ

波山坊主による寺社仏閣散歩

善光寺2 "お朝事"

*イラスト画像は本堂のご案内-境内のご案内 | 信州善光寺

よりお借り致しました。

 

*堂内画像は遠くとも一度は詣れ善光寺 | ながの観光net

よりお借りしました。

 

鐘の音が響きお朝事が始まりました。
天台宗のお坊様達の数人の詩吟のような唄でゆっくり始まります。シンプルなトーンの唄ですが抑揚が美しくやがて音の海に乗る心地。
言葉なのか?唄なのか?解りかねますが
ピタリと抑揚のみでリズムを取るので実は
相当難しいのでは? 

(*声明と呼ばれる歌との事でした。)

 

やがて

此方のイラストで言う⑨の辺りにて。

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1枚目の陣幕が上がり2枚目の龍の陣幕が揺れて光を浴び動いてるかの様な錯覚を覚えます。陣幕の先には段が有り貫主様が密教らしいモーションで大きく手を回し扉を開けます。

とてもエモーショナルな瞬間です。

 

その際朝日が本堂に入り込み堂内が色を変えながら変化していきます。本堂の二十五菩薩様に朝陽が当たり堂内は益々神々しくなります。

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貫主様が瑠璃段で読経を始めますと
周りのお坊様の声も重なり反響し合います。
暫くするとお貫主様が此方をお向きになり

 

大きな通る声で「南無阿弥陀」と繰り返し
我々に功徳を与えて下さいます。

 

般若心経の読経にて天台宗のお朝事は

終了しました。


次に浄土宗のお朝時が始まります。

 

現れたのは藤色の袈裟を羽織った上人様。
静かに読経が始まりました。
初めて浄土宗の観行を体感しました。


拙い知識ですが、、
浄土宗は天台宗を学んだ高僧の法然上人が仏教が当時の上流階級の模範宗教と化し衆生に何も救いの無い事を憂い、やがて阿弥陀仏の教義に辿り着き「南無阿弥陀」とさえ唱えれば身分性別を問わず救われると教えた方です。


善光寺は無宗のお寺ですが、天台宗と浄土宗が共に歩む事で古来より多くの人々の救済を可能にしたのだと分かります。

 

私にお声をかけて下さったあの御婦人も浄土宗の信徒様なのでしょうか?教典を開いて真っ直ぐ読経してました。その姿は眩しい以外に言葉が見つかりません。


この様な神仏との向き合い方もあると理解した上で祈りとは何かを再び考える良い機会を頂きました。


信仰とはあの御婦人の様に真摯に祈る心から溢れる産物なのでしょう。


やがて上人様の澄んだお声で
「なむあみだぶ」を唱えてる時に私は足を崩して瞑想していました。その時脳裏に差し込むイメージは見覚えの無いものでした。


①何か白い袈裟?生地?布袋?の様な物を綺麗な滝壺    で洗う場面
②山の頂きから足を止め雄大な自然を眺める場面

 

何を意味するかサッパリ分かりません(笑)

 

もしや迂闊にも一瞬寝てしまい単に夢を見ただけかもしれませんけど。理解出来たのは善光寺はそんな不思議な場所だという事です。


その後私の周りには宿坊に泊まられてる方々が
お朝事の後に次々に祈願されてました。
きっと此方の仏様なら叶う筈だと思った

次第です。

 

その後階段下での結縁なども行いましたが、もはや頭の中はあのイメージで一杯になっていました。